「天意夕陽を重んじ 人間晩晴を貴ぶ」
今日は、出張でした。
東京から新幹線で1時間半。その地に住み、一代で富を成したある先生に仕事を頼みに行ったのですが、その方は御年83歳。耳が多少遠くなったとは言え、とても元気に今も活動されています。
私は、この先生に会うのが好きです。色々な事を教えてもらえる。遠いので、なかなか逢いにいけないけれど。
そして、今日は、こんな話をしてきました。
「天意夕陽を重んじ 人間晩晴を貴ぶ」
日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一氏の晩年の言葉です。
その言葉の真意は人によって受け止め方が様々かとは思うのですが、先生は私に筆で書かれた紙を渡し、こう言いました。
「西の空を茜色に染めまさに沈まんとする夕陽の美しさは格別
この夕陽のように人間も年とともに佳境に入り
晩年になるほど晴れ渡っていく人生を送るのが貴い」
この渋沢栄一氏の言葉を、「人生は終わり良ければ全てよし」との解釈をされている方も多いかとおもうのですが、先生はひと味違いました。
どうせ生きるのなら、晩年になるほどこの茜色の夕陽の様に美しく、素晴らしい人生である事を目標にせよと。
そして、こうも言いました。
「○○君(私のことです)、私の人生は、今まさにコレなんだよ。晩年になるほど良い。素晴らしい人生だと私は思ってる。でもね、夕陽というのはいつか沈む。だんだんと水平線に沈んでその茜色の陽が消えていく事を思うと、少し寂しいんだ・・・」
と。
83歳になっても、まだ尚、経済的にも発展し続ける先生の人生も、いつかは、この夕陽の様に沈んで行くのだよと言われて、深すぎて、涙が出そうになるのをこらえました。この人は、毎日何を考えて、どんな風に人生を振り返って生きているのだろうか。
目の前の沈みかかった夕陽に自分を例え、幸せだった。でもちょっぴり寂しいんだって生きているうちに思える人生とは、どんな人生なのだろうと帰りの新幹線の中で考えていたら、お腹いっぱいにごちそうになったご飯が効いて、爆睡していた私(笑)
いろいろな人生がありますが、願わくば、私も先生の様に思える日が来ることを目標に、がんばらなければいけないのだと思った1日でした。
先生に、少し寂しいんだ・・・と言われた時に、とっさに返した言葉が、
「人はみな同じです。いつかは、私も先生と同じように、沈んで行きます(^-^)」
と意味不明すぎる言葉が、かなりバカすぎると思ったのでありました。
やはりもっと勉強しなければいけませんね。
でも、本当に素晴らしい、この先生との会話はいつも大好きなのでした。
また逢いに行きたいな。